特別養護老人ホームにおけるサービスの理念に関する検討 : 施設運営(事業)計画の分析を通して

概要

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全国の特別養護老人ホーム358施設から収集した同ホームで示されているサービス(処遇)理念に基づき,その内容や特徴などについて分析的な検討を試みた.その結果,提示されているサービスの理念はいくつかの単位要素(素理念)から構成されるもので,それらは40項目に整理された.各項目は共通した価値領域ごとに,(1)規範的価値,(2)表出的価値,(3)専門的価値,(4)その他の4領域に分類され,各価値領域ともにそれぞれに特性を有する意味のある内容として評価される.同時にそのサービス理念においては,各施設の独自性や具体性があまり感じられない傾向をうかがうこともできた.今後,より効果的なサービス理念を提示できるようにしていくためには,各価値領域に属する単位要素の特性を考慮したうえで,複数の価値領域を包括しながら上位に位置する価値領域にある単位要素から順に提示し,系統的に構造化してまとめていくことが大切であると考える.また,利用者に選ばれる施設として,共通した一般的で根元的な理念項目に加えて,他の施設とは異なる特徴をもった独自の具体的な項目を掲げてその個性をアピールすることも必要になると思われる.
日本介護福祉学会の論文
1999-10-01