Unified Modeling Language手法を用いたアフリカ諸国における受療行動の検討
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概要
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近年、発展途上国に対する医療支援のあり方が見直され、現在の受療行動を基盤とした保健医療システムの設計が急務となっている。日本の発展途上国に対する保健医療分野の支援は、ODA予算の削減に伴い減少しており、対象国に合った支援をより効果的に実践することが求められている。そのためには、可視化情報に基づく分析方法の確立が必要であり、その一つとしてUnified Modeling Language(UML)が注目を浴びている。そこで本研究は、UMLを用いて過去一年間に罹患した病気の受療行動を可視化し、効果的な保健医療支援の可能性を検討する事を目的とした。方法:来日したアフリカ5カ国の保健医療関係者計11名を対象とし、過去一年間に罹った病気の対処行動を質問紙調査と面接調査により把握した。把握した情報を基に病気の知覚から医療機関(伝統医療を含む)受診のプロセスを3段階に分け整理した。まず、個々の対象者の罹患疾患ごとに、次に個々の対象者の罹患疾患を各国の受診機関ごとに、最後に国と疾患を越え受診機関ごとに整理し、集約した。その後これらの結果をUMLのアクティビティ図を用いて可視化表現した。結果:保健医療関係者の受療形態は、病院をはじめとする現代医療中心の形態を成しており、対象国により保健医療システムに違いはあるが、保健センター、病院、伝統医療(薬草師)に大別することができた。また、UMLを用い対象者各々の受診のプロセスをアクティビティ図に集約することで、アフリカ5カ国の現代医療と伝統医療の受療形態と受診プロセスをほぼ可視化することができた。さらに、民族や宗教は異なっても保健医療関係者であれば、ほぼ同様の受療行動であることが明らかになった。考察:UMLを用いて受療行動の詳細を可視化することにより、現地の保健医療関係者だけでなく、支援する側にとっても現状や課題が見えやすくなった。特に、保健医療支援内容で重要な施設建設や人材育成については可視化情報を用いることで、課題認識の共通化が図れ、より実践的で効果的な対策が考えられることが示唆された。
- 2011-12-29
著者
-
清水 佐知子
大阪大学大学院医学系研究科
-
大野 ゆう子
大阪大学医学部保健学科
-
大野 ゆう子
大阪大学大学院
-
清水 佐知子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻数理保健学教室
-
岩佐 真也
千里金蘭大学看護学部
-
大野 ゆう子
大阪大学大学院医学系研究科保健学
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