自衛隊の衛生活動に従事する日赤要員の法的地位に関する考察 : ジュネーヴ第1条約第26条を巡る軍法と赤十字の自主性原則の解釈
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概要
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有事において軍の衛生活動を補助する赤十字要員は「軍法に従わなければならない」とするジュネーヴ第1条約第26条の規定は、赤十字社の自主独立を謳う赤十字の基本原則といかに調和できるか。また同条のコロラリーとして軍の指揮下で医療活動に従事する赤十字要員の法的地位はいかに理解すべきか。現下の法体系が赤十字社及び篤志救済団体の軍衛生部隊の補助活動を排除しておらず、有事の当該活動を規律する国内法規則が存在しない現在、これらの活動に従事する事態が生じた場合に想定される問題は何か。本稿では、軍と赤十字の歴史的関係から軍の指揮下で行われる赤十字活動と自主性原則の関係を明らかにし、一見矛盾するこれらの調和的解釈の可能性を探る。併せて赤十字社などの篤志救済団体による軍の傷病者の医療救護を想定した国内諸規則を欠くことが、万一の場合、軍の指揮下で行動する可能性のある当該要員の地位を曖昧にしている現状を射照する。そして、この状況を改善するために関係当事者がとるべき措置は何かについて考察する。なお、本稿では有事の語を「武力攻撃時」「武力紛争時」又は「戦時」の概念で使用する。
著者
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