慢性的なγ線照射に対する細胞応答の先端技術を用いた解析
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概要
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放射線被曝のヒトに対する生物学的影響は,被曝した放射線の線種や線量,線量率などに依存する1).放射線被曝の生体への影響については,疫学調査による解析や実験動物を用いた大規模な解析を含めて,様々な視点から研究が行われている.そうした多くの研究の結果により,高線量域の放射線被曝と生体影響の線量-効果関係については,次第に明らかにされつつある2-4).一方で,低線量域の放射線被曝と生体影響の線量-効果関係に関しては,現在までのところ矛盾する研究報告も多く,未だ解明されていない部分が多いというのが現状である. 放射線被曝による生体影響のほとんどは,生体を構成している細胞への影響に起因するものである.細胞に対する低線量域の放射線影響に関しても,生体へ影響と同様に,影響そのものを検出することが困難である為,ほとんど明らかにされていない.低線量域の放射線被曝による生物学的影響を明らかにする為には,細胞の分化段階や遺伝的背景などの様々な要因を考慮に入れながら,細胞内因子の応答性とDNA損傷及びその修復経路,遺伝子変異の導入頻度などの詳細を解析していくことが重要であると考えられる.我々は,異なる線量率のγ線照射の下で様々なヒト由来細胞を培養し,細胞及び細胞内因子の応答反応を多面的に解析することで,放射線長期被ばくの生物学的影響の線量率依存性を明らかにすることを試みている.本研究では,異なる線量率で放射線照射された細胞の細胞応答と細胞内分子応答を,Genome AnalyzerとINCell Analyzerを用いて解析を行った.
- 2012-09-25
著者
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