コナラとミズナラの生立木,枯死木および丸太におけるカシノナガキクイムシとヨシブエナガキクイムシの穿入状況と成虫脱出状況
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概要
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カシノナガキクイムシとヨシブエナガキクイムシのコナラとミズナラの生立木,枯死木および丸太における穿入状況と成虫の脱出状況を調べた。両種とも穿入孔密度は健全な寄主の方が衰弱した寄主や枯死した寄主よりも低く,この傾向はカシノナガキクイムシよりヨシブエナガキクイムシでより強かった。成虫は,両種とも生立木からは穿入孔があるにもかかわらず,まったく脱出しなかった。枯死木からは多くの個体が脱出した。脱出期は両種とも6〜11月で,カシノナガキクイムシの方が少し早く脱出した。丸太からは,伐採時に健全であったコナラからヨシブエナガキクイムシはまったく脱出しなかったが,カシノナガキクイムシは丸太を採取した年に多くの個体が脱出した。伐採時に衰弱していたミズナラ丸太からは両種とも多くの成虫が脱出したが,状況は丸太によって異なった。今回の調査から,カシノナガキクイムシとヨシブエナガキクイムシはともにコナラとミズナラの生立木を攻撃するが前者の方がより健全な寄主も攻撃する傾向があること,また,両種とも生立木での繁殖は困難で,攻撃の翌年に新成虫と推察される個体が脱出してくるのは衰弱木あるいは枯死木に限られることが示唆された。
- 応用森林学会の論文
- 1998-03-25
著者
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