クロモジ(Lindera umbellata)の株の維持機構に関する研究
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概要
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林床のような制限された光環境下で生育している低木の株の維持機構を,我が国の代表的な低木種であるクロモジを用いて主に物質収支の面から考察した。クロモジの株現存量が大きくなるにつれ株の年間材積生長量は急激に増加するが,その後次第に増加率が徐々に小さくなり,物質収支が悪化していくことが認められた。物質収支が悪化した株では地上茎間で材積生長が同調的な変化ではなく相互に異なる変化を示した。また,各地上茎の生長率は年齢とともに急激な減少を見せたことから,地上茎間では同化産物の転流が起こり,特に若齢の萌芽地上茎は親株からの同化産物の供給に強く依存していることが考えられた。当年生萌芽の伸長生長量は個体間での分散は大きかったが,その最大値は株サイズと比例して大きくなることが認められた。また,当年生萌芽のうち伸長生長が大きかった個体が後に低木層の構成個体となり残存していた。同一株内で発生した複数の当年生萌芽の中で伸長生長量が大きな個体は後続樹としての役割を持ち,小さな個体は大きな個体死亡時の保険機能的な役割を持つことが示唆された。
- 応用森林学会の論文
- 1998-03-25
著者
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