琉球宮古語池間方言のアクセント体系は三型であって二型ではない(<特集>N型アクセント研究の現在)
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概要
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聴覚印象に基づいて分類した3種類のアクセント型にそれぞれ所属するテスト語は,音響的にも互いに有意に異なっていることが,分散分析の結果によって確認された。また,あらかじめ分類を行わずに音響特徴のみを与えてテスト語を分類させるクラスター分析の結果,3種類のクラスターが得られた上,各クラスターの成員が,聴覚印象に基づいて分類したアクセント型の成員とほぼ完全に一致した。以上の結果から,池間方言のアクセント体系は三型であって二型ではないということは,動かしがたい事実であると断言することができる。本節の分析により,池間方言と多良間方言の間にはそれぞれのアクセント型に所属する語彙に規則的な対応があることが示されたが,同時に池間方言のA型の語彙数が極端に少ないことも明らかにされた。A型の語彙が極めて少ない事実もまた,池間方言のアクセント体系が二型であるとする誤った記述の原因のひとつであると考えられる。方言間の対応については次節でも触れる。
- 2012-04-30
著者
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林 由華
京都大学大学院文学研究科
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田窪 行則
京都大学大学院文学研究科
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久保 智之
九州大学
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五十嵐 陽介
日本学術振興会:国立国語研究所:理化学研究所
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Igarashi Yosuke
Laboratory For Language Development Riken Brain Science Institute:the National Institute For Japanes
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五十嵐 陽介
広島大学
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五十嵐 陽介
日本学術振興会:国立国語研究所
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久保 智之
九州大学大学院人文科学研究院
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林 由華
京都大学
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田窪 行則
京都大学
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ペラール トマ
東アジア言語研究所
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ペラール トマ
東アジア言語研究所:社会科学高等学院:フランス国立科学研究所:フランス国立東洋言語文化学院
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