ゲノムから見えてきた細菌の生存戦略(環境細菌の機能解析-ポストゲノム時代を見据えて-,シンポジウム)

概要

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土壌細菌と病原細菌をゲノムの面から比較するため,土壌細菌としてトルエン・キシレン分解能を持つPseudomonas putida mt-2と植物に腫瘤を形成するAgrobacterium tumefaciens C58をとりあげ,また,病原細菌としてHelicobacter pylori 26695とBartonella henselae Houston-1を取り上げた。環境細菌は大きいゲノムを持つのに対して,病原細菌は小さいゲノムを持つ。また環境細菌は他の微生物との競争のため多数のrRNAオペロンと多数の調節遺伝子を持つのに対し,競合微生物が少い病原細菌は,rRNAオペロンも調節遺伝子も少ない。さらに環境細菌は,土壌中の栄養を獲得・代謝する経路を発達させ,一方病原細菌は宿主内生息に適応した輸送系・代謝系を持つ。取り上げた細菌の特性/病原性にかかわる遺伝子群はすべて水平伝達により獲得されたものである。すべてType IV分泌装置遺伝子群を備えており,その働きにより,標的細胞(細菌,動物細胞,植物細胞)にエフェクター(タンパク質,DNA)を注入する。これらの最近においては,Tipe IV分泌系が生存戦略の中心となすものと考えられる。
日本土壌微生物学会の論文
2008-10-30