作物の土壌病害,特に吸収根の病気と土壌生産力(土壌病害と土壌微生物)
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概要
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作物の吸収根が侵される土壌伝染性病害は,土壌の生産力について考えるとき無視できない要因のひとつであろう。養水分を吸収するのに適した吸収根の生理的形態的特徴の中には,土壌伝染性病原菌の攻撃に対する防御という意味では貧弱とならざるを得ないものが少なくない。これらを侵す病原菌の多くは広く土壌に存在し,少なくともその一部は通常の根の分解に携わる菌として位置付けることが可能である。畑作物の一部では連作に伴ってこの種の菌類が増殖し,その健全な生育が阻害されることは良く知られている。水稲の吸収根を侵す病原菌が水田にも存在することなどから,イネでもこの種の菌類により健全な生育が阻害されたり,収量増加の制限要因となっている可能性が考えられた。土壌には植物の生長を育む性質と同時にこれを分解しようとする性質がある。土壌生産力には,この二つの性質の関係のなかで理解されるべき側面もあるように思われた。この種の病気に対する植物の防衛戦略についても若干の考察を行った。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1989-11-01
著者
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