認知症高齢者における人物の見当識障害 : 高齢者施設職員への調査から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
高齢者施設職員への質問紙調査により,認知症高齢者における人物の見当識障害について検討した。施設に入所している認知症高齢者(n=29) が「よく接する施設職員」,「たまに面会にくる人(月1回程度)」,「よく面会にくる人(週1回程度)」が誰かを理解できるかについて3段階で評価を求めたところ,軽度の認知症では人物の見当識にはほとんど障害が見られず,認知症の重症度が進むにつれて見当識障害が顕著になった。また,見当識障害の程度は対象人物によって異なっており,施設職員に対する見当識障害が重度の認知症の8割で見られたのに対し,面接に来る人に対する見当識障害は4割に留まった。アルツハイマー型認知症における人物の見当識障害は,脳血管性認知症,診断名不明と比べてより顕著であった。「毎日面接に来ている娘のことはわからないが,たまに面会に来る娘婿のことははっきりと理解している」というような症状を示す認知症高齢者を知っているかについて自由記述で回答を求めたところ,「配偶者,子どものことはあまり覚えていないが,婿や嫁の事ははっきり覚えている」という症例が1例報告された。このような症例が生じる原因について,認知症高齢者の覚醒水準と人物の意味記憶の観点から考察した。
著者
関連論文
- Home-cage activity, Open-field, Passive avoidanceテストで得られた正常コントロールデータに基づくENU優性行動変異体のスクリーニング
- P-34 新奇場面における6系統のラットの行動特性(日本動物心理学会第60回大会発表要旨)
- ENUミュータジェネシスによる精神疾患モデルマウスの開発
- ENUミュータジェネシスによる脳神経系異常モデルマウスの開発 (特集・脳科学が求める先端技術)
- P-2-5 化学変異原ENUによる行動変異マウスの開発(1) : 異常検出基準値の作成
- P-1A-1 近交系ハムスターのホーディング行動の系統差(日本動物心理学会第61回大会発表要旨)
- Defensive buryingの最近の研究動向
- Tsukuba情動系20年間の家系図
- P-1-07 Tsukuba高・低情動系ラットの情動行動に及ぼすbuspironeの効果 : ランウェイテストと高架式十字迷路テスト(日本動物心理学会第59回大会発表)
- Tukuba高・低情動系ラットの妊娠率と仔喰い率
- P-2-02 ラットにおける場所選好と防御性覆い隠し行動(日本動物心理学会第58回大会発表要旨)
- P-4-6 新生仔期6-OHDA処置ラットの防御性覆い隠し反応(日本動物心理学会第57回大会発表要旨)
- O-2-1 母親ラットの危険対処行動に及ぼす装置条件の効果(日本動物心理学会第56回大会発表要旨)
- PA19 「危険物を埋められるか否か」がラットの危険対処行動の生起と消失に及ぼす影響(日本動物心理学会第55回大会発表要旨)
- ラットの情動性が防御性覆い隠し反応に及ぼす影響(日本動物心理学会第54回大会発表要旨)
- C-I-2 新奇場面と居住場面におけるラットの嫌悪刺激対処行動の分析(日本動物心理学会第53回大会発表要旨)
- 新奇場面と居住場面におけるラットの防御性覆い隠し反応
- 認知症高齢者における人物の見当識障害--高齢者施設職員への調査から
- 心理尺度と唾液中クロモグラニンAによる入浴効果の測定 : 若年者と高齢者の比較
- 認知症高齢者における人物の見当識障害 : 高齢者施設職員への調査から
- 若年男性と高齢男性における入浴習慣と健康との関係 : 探索的調査
- 母親の理想子ども数と予定子ども数に影響を及ぼす要因
- 色彩嗜好と色彩の心理効果の性差
- 日常的な気分の変動と主観的甘味強度との関連