日常的な気分の変動と主観的甘味強度との関連
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概要
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抑うつや心理的ストレスは味覚感受性を低下させることが報告されている。本研究では、日常生活における気分の変動と主観的甘味強度の関連について検討した。大学生15名(男性:3名,女性12名)を対象として、週1回ずつ3週連続の計3回にわたり、日本語版POMSによる気分の評価と、ショ糖溶液(30mM,60mM,120mM,240mM)の主観的甘味強度の評価を行った。3回目の測定において、主観的甘味強度の有意な低下が観察されたため、分析には1回目と2回目のデータのみを使用した。2回目のデータから1回目のデータを引き、気分の差分と主観的甘味強度の差分の間の相関係数を算出した結果、疲労の差分と120mMショ糖溶液に対する主観的甘味強度の差分の間にのみ中程度の正の相関(r=.45,p<.10)が認められ、疲労が上昇した人では主観的味覚強度が上昇していた。ネガティブな心理状態が味覚感受性を低下させるという先行研究とは異なる結果であったが、生体内のセロトニン系を介して疲労上昇に伴う甘味感受性の上昇が生じる可能性について考察した。
- 2013-12-03