摂食障害の身体的治療における問題(摂食障害の臨床をめぐって,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
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概要
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摂食障害は心理的な要因で発症する疾患であるが,身体的治療の役割は大きい.摂食障害がcommon diseaseとなった昨今,非専門医もプライマリ・ケアを担当せざるをえなくなった.これまで,重症度と緊急入院の適応や労作制限の判断に統一性がなく,混乱があったので,2007年に,厚生労働省調査研究班は「摂食障害救急患者治療マニュアル」と「神経性食欲不振症のプライマリケアのためのガイドライン」を出した.摂食障害の治療の困難さは,病識や治療動機が希薄な患者を対象にしていること,身体的治療が必要な時期ほど飢餓による精神症状や問題行動が重症で治療への協力を得るのが難しいことである.治療者は,本症患者の心理と行動を熟知して心理教育的アプローチによって患者に治療動機を何とかもたせること,食に障害を抱えている事実に即した現実的な栄養指導,安全な再栄養療法,入院期間の短縮化,後遺症の予防,慢性遷延化と在宅栄養療法の導入などに取り組まなければならない.
- 2012-04-01
著者
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鈴木(堀田) 眞理
政策研究大学院大学保健管理センター:東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科:東京女子医科大学女性生涯健康センター内科
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鈴木(堀田) 眞理
政策研究大学院大学保健管理センター
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