学齢を超過した義務教育未修了の外国人住民の学習権保障(<特集>グローバルとローカルの複眼的思考)
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概要
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本稿は、日本社会の水面下で深刻化しつつある学齢超過者の学習権というグローバルな課題について、就学支援という形で支えるローカルの実践事例から、ボランティアの意義を考察したものである。未だ日本に居住する外国人の初等教育が保障される仕組みは構築されていない。そのため、学齢(日本の義務教育年限)期であるにもかからず、学校に通ってない不就学の子どもが実在する。こうした背景により、学齢期に不就学であった外国人住民は学齢を超過した時には義務教育未修了者となるものの、社会から「見えない」存在であるがために、日本社会では学齢を超過した外国人の学習権という課題が置き去りにされてきた。そのなかで、外国人が多く暮らす地域では、ボランティアが中心となり、学齢を超過した義務教育未修了の外国人住民の就学支援を行っている。画一的な思考ではなくグローバルとローカルの複眼的思考を持ったボランティアの尽力は、学齢超過者の「日本で生活していく中で高校進学して学力を向上したい」「美容師になりたい」などの夢の具現化に大きく寄与している。
- 2011-12-28
著者
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