Duality of Linearity and Nonlinearity to Reveal Irreversibility in Transport Phenomena (量子科学における双対性とスケール)
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概要
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不可逆性の問題は物理学の中でもっとも基本的な研究テーマの一つである。ここでは,輸送現象に焦点を絞って最近の自分自身の研究結果を報告する。前回は,電気伝導という典型的な輸送現象におけるエントロピー生成が密度行列の対称成分ρ_s(t)(=ρ_0+ρ_2(t)+…)によって記述されることを見つけ,この事実に基づいてフォン・ノイマン方程式を対称成分ρ_s(t)と反対称成分ρ_a(t))=ρ_1(t)+ρ_3(t)+…とに分離し,対称成分の時間発展方程式に糸の内部で発生した熱を外部に取り出す緩和項をつけ加える定式化を行い,定常状態を記述することに成功した。この"対称性分離の密度行列定式化"は,外からエネルギーを供給する効果を密度行列を用いて定式化することも可能にすることがわかった。この定式化により,内部エネルギー<H_0>_tも電界エネルギー<H_1>_t(=-eΣ_j<r_j>_t・E)も時間に依らない定常状態が密度行列で表現され,なおかつ,エントロピー生成(ds/dt)_irr(=J_E・E/T=σ_EE^2/T)が正しく与えられる理論が確立された。この定式化を一般化するために,熱伝導の力学的定式化を行った。(ラッテンジャーの理論よりも直接的に久保公式を導ける新しい定式化である。)さらに,非線形輸送現象と一般的に扱うため,久保タイプとズバーレフタイプの2つの拡張を行い,両者の関係を調べた。前者は,確率分布ρ(t)に対する統計的摂動理論であり,後者は,ハミルトニアンに対する力学的摂動理論である。後者の一般論で密度行列の肩の部分を外場の一次まで展開した近似をするとスバーレフ理論になり,それをさらに密度行列とそのものについて一次近似すると久保理論になる。
- 2012-02-20
著者
-
鈴木 増雄
東京理科大学理学部
-
Suzuki M
Graduate School Of Science Tokyo University Of Science
-
鈴木 増雄
東大物性研
-
鈴木 増雄
東京大学理学部物理学科
-
鈴木 増雄
東京理科大学
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