人工林内の下層におけるオオバアサガラの生長と立地環境
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概要
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オオバアサガラ(Pterostyrax hispidus SIEB. et Zucc)は,シカの食害地において被害の少ない樹種の一つである。そこで,食害によって林床植生が消失した人工林の土壌流亡などを軽減する方法の一つとして,本種を林床植生に種子散布や植栽で導入する諸条件を検討した。試験地はカラマツ林,サワグルミ林を対象にし,それら試験地の下層木として成育する天然生オオバアサガラを対象に生育状況の異なる5プロットを設定した。その結果,林内相対照度が高いほどオオバアサガラの成立本数,平均樹高,平均根元直径,根元断面積合計のいずれも増大する傾向を示した。さらに,微地形的には凸地より凹地の方で,急斜面よりも緩斜面において生育は良好であった。 これらことからシカの林床植生食害が激しい人工林で本種の天然更新が可能な場所としては,種子供給源である母樹が近くにあり,林内相対照度が 20% 以上で,凹地の緩傾斜地が有力である。また,人工植栽する場合も,凹地形や平坦面に植栽し,林内相対照度に配慮する必要がある。
- 2012-03-05
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