446 全周1リング翼構造と群翼構造が混在したタービン翼のふれ回りモード特性(翼運動,OS-18 ロータダイナミクス,総合テーマ「伝統を,未来へ!」)
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概要
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蒸気タービンの翼構造は,翼剛性を高め,構造減衰を付加する等の理由から隣り合う翼を連結する翼連結構造が採用されている.それら翼構造を大別すると,全周にわたってすべての翼が連結される全周1リング翼構造,有限本数の単位で連結される群翼構造,そして両者の翼構造がひとつの翼車に混在した複合周期翼構造に分類できる.従来からそれらのモードや共振条件に係る振動特性については数多くの研究が行われてきた.例えば,複合周期翼構造のひとつである群翼とディスク連成構造については,EwinsやWargnerらによりモードと共振条件について詳述されている.また,金子らはミスチューンがある翼・ディスク系の応答解析で群翼構造の応答について報告している.一方,翼構造の中で全周1リング翼構造の翼振動については,タービン回転中に共振した場合,タービンの回転方向と同じ方向で円周方向にふれ回る前回りモードと,回転方向と逆方向にふれ回る後ろ回りモードが現れる,いわゆるふれ回りモード特性についてCampbell,Wildheimや名村の研究などで明らかになっている.しかし,群翼構造や複合周期翼構造のふれ回りモードに関する研究は,未だ系統立てた結論は得られていないと思われる.複合周期翼構造は,一つの固有モードが複数個の節直径モードに合成されたものに変換され,どれか一つの節直径数と励振次数が一致した場合に共振する.その場合,励振次数と一致した節直径数のモードのみ,ふれ回りモードを示すのか,あるいは,固有モードを構成する全ての節直径モードがふれ回りモードを示すのか不明である.このふれ回りモードの状態は,全周の翼の共振応力を評価する上で,個別の翼の共振応力に差を生じる原因となるので,タービン翼設計上重要である.本報告では,複合周期翼構造を持つタービン翼に励振力が作用したときのふれ回りモード特性について式の展開により予測する.次に,簡単な翼モデルにふれ回りモードを励振させた実験を行い,ふれ回りモードの予測を検証した.その結果、下記結論を得た.(1)ふれ回りモードを示す一般式を導き,励振次数hと節直径数成分κで表される複数個の節直径モードのうち,いずれか一つの値が一致するときに共振し,ふれ回りモードが現れることを導き,かつ実験により検証した.(2)ふれ回りモードでは,励振次数と一致した節直径数モードのみで表れるのではなく,節直径数成分κの集合で示される複数個の節直径数モードの重ね合わせたモードで現れる.(3)複合周期翼構造のふれ回りモードにおいて,最も大きな応答を示す代表節直径数は,必ずしも励振次数乃と一致したものとは限らない.
- 2010-09-14
著者
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