イネ野生種(Oryza rufipogon)遺伝的背景に栽培種(O.sativa)由来の非脱粒性遺伝子を導入した置換系統における脱粒程度の経時的評価
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概要
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野生イネ(Oryza rufipogon)は種子脱粒性を示すが,この性質は栽培イネ(O.sativa)においては収量低下につながるため,栽培化の過程で淘汰されている.これまでに,脱粒性を支配する効果の強い2つの遺伝子座(qSH1とsh4)が明らかにされてきたが,これらの解析は栽培イネの遺伝的背景で行われたものである。本研究では,イネの栽培化過程において脱粒性がどのように失われたかを解明するため,まず,野生イネの遺伝的背景に栽培品種「日本晴」の非脱粒性を促す対立遺伝子を戻し交雑によって導入した系統をSSRマーカーを用いた選抜に基づき育成した.これらの置換系統における脱粒性程度を経時的に計測したところ,開花後5日目の脱粒強度は栽培イネよりも低く,野生イネとほぼ同じであり,置換系統の種子基部に離層が形成されつつあることを示していた.さらに,10日以降の置換系統の脱粒強度は,「日本晴」の約半分であった.以上の結果から,栽培イネの非脱粒程度はqSH1とsh4の2つの遺伝子座だけでは説明できず,野生イネには離層形成を促進する新たな因子が存在することが示唆された.
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