手続き的環境権の制度化 : 事例研究 ニュージーランドの統合的資源管理
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「良き環境を享受する権利」として主張される環境権は、国際環境法から見て原理的権利としては確立しつつあるといえる。しかし、実質的な権利内容の確定はきわめて困難であり、環境権を手続き的権利として確立していくべきであるとの議論が環境法学の分野で優勢になりつつある。環境にかかわる利害関心と価値観の間の紛争・対立が激しく、これは民主主義的諸制度における政治的調整に委ねざるを得ないという認識がそこにはある。ニュージーランドの資源管理法は、国内のほぼあらゆる資源管理を、環境に関わる規範と地域レベルでの「資源利用承認resource consent」による利害関係者間の合意形成によって統合的に管理することを企図した環境手続き法である。手続き的環境権と環境の統合的管理という2つの視点から、法の実施状況についてみると、自治体間の能力格差、影響原則の実効性、公衆の意志決定への参画および司法アクセスの権利、そして中央政府と地方政府の政府間関係などの面でさらに検討を要する課題が見いだされた。これらの課題へのニュージーランドの取り組みを調査・検討することにより、資源管理法の施行から二〇年を経たニュージーランドの資源管理の法制度の評価を試みることができるだろう。
- 2011-10-26
著者
関連論文
- 国際人道法と国際レジーム--常設国際刑事裁判所規程採択までの政治過程を追って
- LTD話し合い学習法の実践報告と考察 : 学ぶ楽しさへの導入という利点
- 森林資源をめぐるシミュレーション・ゲームの実践事例 : 国際理解教育の教材開発を目的に
- ネパールの地方統治構造 : 1999年地方自治法(LSGA)のゆくえ
- 国連開発計画の民主的統治(ガバナンス)および地方分権化支援 : ネパールの地方分権化を題材に
- 嘉悦大学における産学連携によるインターンシップ : コラボレーションが育むキャリア教育
- 南アジアの地方分権化と参加型開発 : 流水域管理におけるインドのNGO、MYRADAの経験から
- 国家人権レジーム推進上の難問 : 国家形成とエスニック・マイノリティ : ナイジェリアの事例
- アラン・リックス著 「日本の海外援助への挑戦 : 政策改革と援助のリーダーシップ」
- 援助についての政治的コンディショナリティ
- 援助への視点 : 開発NGOの視点
- ダン・ダム・トゥルン著 『***-性労働の社会構造と国際経済』をめぐって : 性労働の概念を中心に
- 「からゆきさん」再考 : 国際労働力移動の視点から (学園創立90周年記念号)
- 海外出稼ぎ : 送り出し国への影響
- 「からゆきさん」再考
- フィリピン賠償からマルコス疑惑へ(II) : その連続性
- フィリピン賠償からマルコス疑惑へ(I) : その連続性
- 手続き的環境権の制度化 : 事例研究 ニュージーランドの統合的資源管理
- 原子力政策 : 政策決定の法制度にかかわる「公共空間」(1)
- 原子力発電所関連施設 住民投票年表
- アメリカ合衆国バーモント・ヤンキー原子力発電所年表 : 運転延長許可、事故、州政府の管轄権をめぐって
- アメリカ合衆国における原子力発電に関するイニシャチブ及びレファレンダム年表