南アジアの地方分権化と参加型開発 : 流水域管理におけるインドのNGO、MYRADAの経験から
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概要
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途上国における地方分権化および開発理論と実践における住民参加の流れが加速している。参加型開発の手法として発展しているPRAは、地域住民こそが開発の主体であるべきであるとし、その理念として参加民主主義を内包しており、近年は地方レベルのガバナンスの改善にまでその射程を拡大している。南インドのNGO、MYRADAは住民参加型開発の先端的な位置にあるNGOである。PRAを住民との対話の手法として積極的に活用しながら、貧困層の貯蓄とクレジットのための自助グループを組織し、自助グループを、さらに組織理念、財務および管理運営能力、紛争解決能力をもち、外部の諸機関との交渉力をもつ組識にまで育成することをその活動の核心においている。MYRADAモデルと呼びうる彼らの活動は、流水域管理、森林管理などのコミュニティを基盤とした地域共有資源について、持続可能な自己管理制度の創出に成功し、このモデルはカルナータカ州全域、ネパールに拡大している。鍵となるのは、住民の組織化、組織的能力の育成である。住民参加を可能にする地方行財政制度の整備強化と、下からの住民の組織化とエンパワーメントが進んだ時に、参加型開発は、貧困の緩和、社会的公正の実現、持続可能な組識と開発の実現という理念を広く実現する可能性を秘めている。
- 嘉悦大学の論文
- 2001-12-21
著者
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