アジア心身医学会The Asian College of Psychosomatic Medicine(ACPM)について : 歴史と展望:創設から今日に至る道程とアジア・太平洋地域の心身医学の普及,そして未来への任務
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概要
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アジア心身医学会The Asian College of Psychosomatic Medicine(ACPM)は,1982年(昭和57年)4月12日,東京において,国際心身医学会のアジア部会The Asian Chapter of the International College of Psychosomatic Medicine(ICPM-AC)として設立され,池見酉次郎日本心身医学会理事長の設立記念講演のほか,A.N.Singh(カナダ),B.G.Burton-Bradley(パプアニューギニア)など4名の方々の記念講演が行われ,役員が選出された.初代President(会長)には石川中(日本),Vice President(副会長)にはM.Mahadevan(マレーシア),B.G.Burton-Bradley,General Secretary(事務局長)には筒井末春(日本)の方々が選ばれた.アジア部会設立の動きは,これに先立つ5年前,1977年9月5日〜9日に京都で行われた第4回国際心身医学会議の席上で始まった.そして,第1回の国際心身医学会アジア部会(ICPM-AC)が,池見酉次郎大会会長のもとに1984年5月19日〜20日,東京で幕開けとなった.当初の主要メンバーは,池見酉次郎,石川中,筒井末春,桂戴作,中川哲也,末松弘行,鈴木仁一,金子仁郎,五島雄一郎,日野原重明,長谷川和夫ほか林憲(台湾),S.Y.Kang(韓国),A.N.Singh,M.Mahadevan,B.G.Burton-Bradleyなどのアジアの国々の著名な心身医学者の方々であった.以後,アジア部会(ICPM-AC)は,第2回から第9回まで隔年ごとに日本と,インド,マレーシア,台湾,韓国,中国のアジア諸国で開催され,第10回からはアジア心身医学会(ACPM)と名称を変更して第14回までが台湾,沖縄(日本),オーストラリア,韓国,中国で開催されている.アジア心身医学会(ACPM)の現在のPresident(会長=理事長)は久保千春日本心身医学会理事長で,事務局は日本の九州大学心療内科に置かれている.第14回アジア心身医学会は,昨年(2010年)9月10日〜12日,中国の北京で趙志付会長のもとで行われ,次回の第15回アジア心身医学会は,来年,2012年8月24日〜26日にモンゴル,ウランバートルで,Tserenkhuugyin Lkhagvasuren会長のもとで開催される.創設以来30年間に,参加国はアジア,太平洋地域に広がり,北はモンゴルから南はミクロネシア,オーストラリア,東はカナダから西はスリランカの諸国から,演題発表が行われている.メインテーマは,毎回魅力的で特色あるものが取り上げられており,学会発表の内容も,一般の心身症,パニック障害,うつ病,文化結合症状群などへの心身医学的な視点からのアプローチだけでなく,基礎医学的な実験研究や,公衆衛生学的研究,心理療法,東洋医学,相補代替医療,社会心身医学からスピリテュアルな視点の研究などまで幅広い.アジア心身医学会の今後への期待は,psychoneuroendocrinoimmunomodulationの心身相関の視点に立ち,メンタルヘルスを向上させて心身医学的な疾病を予防し,さらに健康を増進させていくヘルスプロモーションに注目していくことである.とりわけアジア・太平洋地域の文化的背景を踏まえ,実存・生命倫理などスピリチュアルなwell-beingを求めていくことも視野に入れた発展を期待する.若い国々の心身医学を支援することも日本心身医学会の課題である.
- 2011-07-01
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