幼児教育における相互行為の分析視点 : 社会化の再検討に向けて(<特集>幼児教育の社会学)
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概要
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本稿は,幼児教育における相互行為を分析する視点・枠組みを検討することを目的とする。幼児教育は,家庭での初期的社会化の段階と学校教育段階の間に位置し,両者と密接に関連している。幼稚園での教育は,集団を媒介にした指導が軸となっており,学校における社会化に先行する雛形が観察される。幼児をその相互行為の様式として観察-分析しようとするさい,注目されるのは種々の非対称ルールである。幼児-大人間でやりとりされる問いかけ-応答,人称-呼称のあり方など,いくつかの局面で非対称ルールは見出されるが,それらを介して大人と子どもの相互行為が構成され,社会化場面が立ち上がっていく。遊びや指導場面では,子どもの集団においても非対称な関係があり,集団活動への参与資格にかかわる非対称ルールは,集団あるいは社会が成立し,存続するために不可欠の契機となる。幼児教育とはその意味で,非対称ルールを手がかりに対称ルールの習得を目指す,子どもへの働きかけといえる。社会化は,集団を構成することと参与者が構成員となることを相即的に成就させる過程を示す。本稿では,具体的な相互行為場面をそうした過程が進行している場として観察し,分析する視点・枠組みを準備する。
- 2011-06-10
著者
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