いわゆる原始一人会社に関する一考察-フィリピン会社法における発起人の員数および資格要件に関する規定を手がかりにして-
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概要
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本稿では,原始一人会社に関する問題検討の手掛かりとしてフィリピン会社法を取り上げた。フィリピン会社法第10条は,発起人の員数を5人以上15人以下とし,その資格要件を成人たる自然人でかつその過半数がフィリピン在住者であると定めている。一方,アメリカ,イギリス,日本などの先進国では発起人の員数及び資格要件を緩和し,原始一人会社を承認しているが,そのような現状は株式会社の基本構造である社団性と法人性との齟齬を来している。本稿では,株式会社の社団性と法人性を維持するためには複数の発起人を置く必要があり,また発起人はその性格から自然人とするのが望ましいと説いた。もっとも,現状を追認し原始一人会社を許容するのであれば,株主有限責任制度の制限規定の導入,設立中及び設立後の厳格な債権者保護規定と監視制度の導入,設立中の不測の事態に備えた担保供出制度の導入などの法整備が必要であると思われる。
- 2011-09-26
著者
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