ブルガリアの移行へのパーフォーマンスと最近時(2007年)の経済・社会状況 : FDI の実績を軸として
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概要
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移行経済諸国のうち中東欧バルト(CEE),南東欧(SEE) の市場経済化へ移行の推移を辿って,そのパーフォーマンスを研究の対象にしてきた.これらの対象国がEUへの加盟を果たすことによって,いわば先進国入りをした過程には開発経済学の視点から多くの課題を見出すことが出来ると思われた.欧州の開発に係る学会では1995年頃から「拡大EU」の課題を開発の重要な1つの柱として研究,政策の対象として捉えてきた.筆者がこれらの対象国のうちで特にブルガリアを国別研究の対象として取り上げて来たのは移行の初期1993-1995年に同国の開発援助の調査に携わった経験が一因であるが,なにより,同国が移行の初期の混乱を超え経済再建を果たすかに見えたにも拘らず,政策の失敗により金融・経済危機に陥り,その後多くの障害を越えて回復と安定成長の路線を辿って来たこと.また歴史的に見ると経済発展の相当な潜在的成長力を有していたにも拘らず,長期にわたり低迷を余儀なくされた経済・社会構造に強い関心があったからである.幾つかの経済的要素の中から「民営化」と「外国直接投資(FDI)」を主要な軸として採択してきた理由は両者はいわば表裏の関係にあり相互に影響しあう.また両者は共に市場経済化には不可欠な政策手段であり政府は継続して重要政策として掲げてきたこと.そして何よりも FDI は対象国の経済発展に直接,間接に寄与する要素を有し,かつその趨勢は経済成長の指標ともなりうること.さらに経済的な側面に加えて社会的にも影響を有する企業行動であるとした考えに基づいている.数年の間,主に国際機関での意見聴取や英仏の文献によって課題を追跡してきたが,今年2月,現地での調査を行う機会を有したのでその結果を現状報告の形でまとめてみた.より深く資料の分析を行い移行の段階を経て新規にEUの参加国の一員となった同国の経済発展への展望と幾つかの提言を行う作業は続けて行うこととしたい.
- 日本福祉大学の論文
- 2007-08-31
著者
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