障害のある子どもの理解と教育指導
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概要
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学校など教育の場において障害のある子どもを理解するには,まず教師が子どもと正面から向き合い,子どもとの語り合い(コミュニケーション)を成立させることが大切であることを強調している.そのうえで筆者は障害,発達,生活,実践という4つの視点から子どもを理解する必要があることを指摘し,そのそれぞれについて1,2の論点に絞って考察を加えた.(1)障害の臨床像は生物学的・医学的なものと個人生活・社会生活に規定されたものとの複合体だと見るべきである.(2)発達の視点を導入する場合には,能力の発達だけでなく,人格の側面,特に活動を開始し,展開し,休止することに影響を与える自尊感情,自己肯定感の発達について目を向ける必要がある.(3)生活については人間関係に関する心理学的な見方の限界を自覚し,人間関係を規定している保護者の労働や家庭経済の問題にも視野を広げておくことが必須である.最後に(4)子どもの理解の質と水準は教育指導の質と水準に影響を与えるが,同時にその逆も言えるという,子ども理解と教育指導の相互規定性について論じた.
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