大学保健センター歯科を受診した大学生の歯科疾患の実態に関する調査

概要

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学校保健統計調査により,児童,生徒および幼児の歯などの状態が調査され,う蝕有病者率の減少やDMF歯数の減少が報告されている.しかし,大学生の歯科疾患の実態については学生の健康白書に健康診断結果がまとめられている程度で,ほとんど報告されていない.歯科健康診断の義務がなくなる大学生は,学校歯科保健でも成人歯科保健でも法令に基づく健康管理が行われておらず,その後の歯周疾患の増加や歯の喪失へのターニング・ポイントとなっている可能性がある.東京大学保健センターでは診療部門として歯科口腔外科を持ち,歯科健康診断や歯周治療,簡単な修復治療などの予防重視のプライマリ・ケアを行っている.本研究では,2000年から2007年度に東京大学保健センター歯科口腔外科を受診した大学生を対象に歯科疾患の実態に関して調査し,他の歯科疾患調査との比較検討を行った.その結果,う蝕有病者率や歯周疾患有病者率,未処置歯,処置歯は,平成17年度歯科疾患実態調査よりも低くなっていた.歯冠の1/2以上の縁上歯石または縁下歯石を有する重度沈着は男性に多く認められた.また,学生の自覚のない智歯の有所見率が有意に高くなっていた.以上より,う蝕だけでなく歯周病や智歯の状態を診断し学生の自覚を惹起することは,口腔衛生に対する意識を高め,疾患の予防や早期発見を促すうえで重要な意義があると考えられた.
2009-10-30

大学保健センター歯科を受診した大学生の歯科疾患の実態に関する調査

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