プロトンポンプ阻害薬内服で上気道炎様症状が改善した2型糖尿病合併逆流性食道炎の一例

概要

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症例は62歳女性。1983年(35歳)1ヶ月間で5kgの体重減少を認めたため、近医を受診した。随時血糖396mg/dlであり糖尿病と診断された。食事療法を行い減量したところ血糖コントロールが改善したため通院を自己中断した。以後も通院と自己中断を繰り返していた。1989年(43歳)に血糖コントロール目的に当科初診し、経口血糖降下薬内服を開始されたがHbA1c8-10%台で経過した。1995年(46歳)、子宮筋腫の手術後からインスリン治療に切り替えとなり、以後インスリン加療下に血糖コントロールはHbA1c7%台で経過していた。2007年(58歳)10月より咳および咽頭痛が出現し、自宅にあった抗生剤を内服していたが症状が改善しないため、当院耳鼻科を受診した。上気道炎の診断で抗生剤が変更されたが改善がみられず、11月5日に呼吸器内科を受診した。聴診上喘鳴が聴取され、気管支拡張薬、鎮咳薬を処方され、継続内服した。以後症状増悪時には抗生剤を内服していたが、症状の著明な改善は認められなかった。2008年(59歳)9月、食後の心窩部痛および膨満感が出現したため、痔核でかかりつけであった当院外科にて精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行された。検査施行前のFスケールテストは酸逆流症状は5点、運動不全症状は8点、計13点であった。上部消化管内視鏡検査では逆流性食道炎gradeA、食道裂孔ヘルニア及び表層性胃炎を認め、ラべプラゾールナトリウム10mgの投与を開始したところ、約1週間で咽頭違和感、腹部膨満感、咳嗽などの自覚症状が消失しFスケールテストも0点となった。デキストロメトルファン、アンブロキソール、トラネキサム酸の内服も中止した。ラベプラゾールナトリウムは8週間継続内服し、中止後も症状の再出現は認めていない。プロトンポンプ阻害薬の内服にて上気道炎様症状の改善をみた一例を経験したので報告する。
2011-03-31

プロトンポンプ阻害薬内服で上気道炎様症状が改善した2型糖尿病合併逆流性食道炎の一例

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