ケーキの香気成分に関する研究(第1報) : 油脂,卵アルブミン,可溶性デンプンの加熱中に発生するカルボニル化合物の検索
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概要
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本研究においては,油脂・アルブミン・デンプン配合のベーキングケーキのモデルシステムによる場合に発生する芳香を,各種の油脂,すなわちバター,マーガリン,ショートニングを使用した場合について実験し,この際発生する香気について,官能テストと揮発性カルボニル化合物の検索を行ない,つぎの結果を待た。1)官能テストによる3種類配合加熱の発生成分の芳香性は,バター配合の場合がもっとも良好で,マーガリン,ショートニング配合では芳香性が劣る。この場合の差異はカルボニル化合物として,ジアセチル,アセトイン,フェニルアセトアルデヒドの発生量に原因するものと考えられる。2)卵アルブミン・油脂配合系のカルボニル化合物の香気は,アルブミン加熱分解生成物の香気に支配され,デンプン・油脂配合系では,デンプン加熱分解生成物の香気に支配される。アルブミン・デンプン配合系では,デンプン熱分解生成物に支配されたが,これは配合割合の影響によるものである。この場合の発生カルボニル化合物の差異は複雑であるが,アルブミン配合ではアセトアルデヒド,アセトン,メチルエチルケトンが多く検出されたが,デンプン配合ではホルムアルデヒド,アセトンのほか,フルフラール,オキシメチルフルフラールの発生がみられ,なおジアセチル,アセトインの発生も確認された。3)ベーキングケーキとしての芳香性を支配する揮発性カルボニル化合物は,ジアセチル,アセトイン,フェニルアセトアルデヒドのほか,フルフラール,オキシメチルフルフラールもベーキング香気として重要な成分と考えられる。終りにのぞみ実験を行うにあたり常に懇切なる御指導を賜わりました恩師実践女子大学染野亮子教授,ならびに本学伊藤信夫教授に深く感謝致します。本研究の一部ほ第19回日本家政学会総会(昭和42年)において報告した。
- 藤女子大学の論文
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