北海道北部における土壌断面内のMnの分布と水分環境
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
多くの北海道の土壌は秋から融雪期にかけて過湿状態に,また晩春から夏にかけて乾燥した状態になりやすいので,それらの影響が断面内にも現われていることがある。たとえば,偽疑グライ層が現われたり,同一断面内に堅果状構造と還元斑の両方が認められることもある。このような土壌中では,過湿期にFeやMnなどの易還元性物質は可動化して水の運動とともに断面内を移動し,乾燥期に酸化沈澱すると考えられるが,断面内の水の動きかたは地形,降水量,蒸発散量,内部排水などの水分環境できまるから,易還元性物質の断面内分布はその土壌の水分環境を反映していると考えられる。久保(未発表)は北海道北部の多くの緩斜面でF層や地表ふきんで折れたササ桿などにMnのべンジン反応がみられること,および排水良好地ではこれが認められないことを見いだし,この現象を過湿期に可動化したMnが地表面における水分の蒸発によって,しだいに地表の枯死植物体に集積していった結果であるとみなした。永塚(1975)は西南日本において,地形上の位置によってMn_0の分布パターンが特徴づけられることをしめし,その原因を水の移動にともなうものであると推論している。ここでは北海道北部の非火山灰性地帯のゆるやかな地形を主にとり扱い,排水状態を重視した水分環境区分からプロットを5段階に区分して,それら土壌中のMnの分布状態を検討した結果を報告する。
- 1979-11-30
著者
関連論文
- 北海道北部天然生海岸林でのカシワ・ミズナラの芽吹き様式と生育環境との関係
- 北海道の海浜における風衝林形の形成モデル
- 北海道北部の天然生カシワ・ミズナラ海岸林の冬芽枯死の原因
- 道北地方の天然生海岸林の生育と生存条件-2-カシワ・ミズナラの芽の死亡の兆候はまず葉痕部にあらわれる
- 道北地方の天然生海岸林の生育と生存条件--カシワ・ミズナラ新条が形成される部位と芽の死亡時期
- カラマツ林分化にともなう土壌の変化
- 北海道北部における土壌断面内のMnの分布と水分環境
- 北海道の重粘土地域における耕耘地拵え
- 小面積林地内の土壌分析値の変動について
- 732 北海道におけるトドマツ人工林の生長と環境因子の関係について : 第1報 道北地方におけるトドマツ人工林の樹高生長と環境因子の関係について(第77回日本林学会大会講演要旨)
- 標高メッシュデ-タから求めた土壌重力水の残存日数とトドマツ樹高成長の関係
- 北海道におけるカラマツ人工林の立木腐朽
- 海風環境下における天然生樹木の生態と砂防的応用
- トドマツの年輪幅変動に及ぼす土壌乾燥の影響
- 道央地方におけるミズナラ2次林の林分構造と立地条件
- 堆積地のテフロクノロジ-的解析による崩壊発生頻度の測定
- 火山灰層を指標にした斜面崩壊の年代的解析--災害地域における過去300年間の崩壊発生履歴
- 北海道の5〜10月における蒸発散能・降水量比の分布と季節変化
- 海岸段丘ふきんの飛来塩分の分布
- 北海道胆振東部地域における斜面崩壊の発生頻度に関する研究
- 日高地方における海岸段丘斜面の植生実態と崩壊
- 709 北見地方トドマツ造林地の土壌養分について(第78回日本林学会大会)
- 14.南北両斜面の水収支因子の測定結果について(会員研究発表講演)
- テフロクロノロジーによる山地斜面地形分類 : 道央台地地域(会員研究発表講演)
- ヤチダモの樹高生長と土壌の水分環境(会員研究発表論文)
- 湿潤環境下における若齢カラマツの衰弱事例(会員研究発表論文)
- デンドロメータ法によるカラマツとグイマツ雑種F_1の直径生長パターンの比較例(会員研究発表講演)
- グイマツ雑種とカラマツ直径生長の季節変動(会員研究発表論文)
- 日高地方における海岸段丘の崩壊(II) : 小流域内における崩壊の分布(会員研究発表講演)
- 日高地方における海岸段丘の崩壊(I) : 崩壊地の植生(会員研究発表講演)
- 地位に影響する土壌重力水の残存日数(会員研究発表論文)
- 非火山灰性の森林土壌中における大孔隙の分布と消長(会員研究発表講演)
- トドマツ枝枯病被害林の融雪期以後夏までの脱葉経過 : 音威子府の例(会員研究発表講演)
- 日高地方における海岸段丘斜面の崩壊(V) : 根系の緊縛力(会員研究発表講演)
- 天北地方の森林土壌(I) : 母材による還元溶脱,酸性溶脱の違い(会員研究発表講演)
- 日高地方における海岸段丘斜面の崩壊(IV) : 62年経過した崩壊跡地における木本の侵入状況(会員研究発表講演)
- 道南地方における今年のスギの寒風害について(会員研究発表講演)
- 日高地方における海岸段丘の崩壊について(III) : 波恵川流域における崩壊形態と頻度(会員研究発表講演)