日本におけるコナラ林の群落体系
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.日本のコナラ林について植物社会学的な種組成および分布の検討を行った.各地域から報告された既発表文献と筆者らの報告した合計562の植生調査資料を用い,総合常在度表により広域的に比較した.その結果,日本のコナラ林群落を次の9群集にまとめ,イヌシデ-コナラ群団,コナラ-ミズナラオーダー,ブナクラスに位置付けた.1)オニシバリ-コナラ群集,2)ノグルミ-コナラ群集,3)アベマキ-コナラ群集,4)ケネザサ-コナラ群集,5)ケクロモジ-コナラ群集,6)クヌギ-コナラ群集,7)クリ-コナラ群集,8)カシワ-コナラ群集,9)オクチョウジザクラ-コナラ群集 2.コナラ林は各群集の分布状況から,沿岸地域,西南日本地域,中部内陸地域,東北日本地域および日本海地域の5つの分布型にまとめられることを明らかにした.特に西南日本地域と東北日本地域はほぼフォッサ・マグナを境界とし,植物区系上の境界である牧野線に対応していた. 3.垂直分布では,コナラ林は沿岸低地から海抜1350mまでみられ,2つの分布パタ-ンに大別される.1つはヤブツバキクラス域のみに分布する群集で,自然立地をもたない集約的管理によって形成されてきた二次林である.中国大陸の夏縁性ナラ林との類縁をもつと考えられる.他の1つはヤブツバキラス域から下部ブナクラス域まで分布する群集で,二次林だけでなく自然植生としても存在する.ブナクラスの種群が優勢で,二次林としては下部ブナクラスの夏縁広葉樹自然林に由来すると考えられる.
- 植生学会の論文
- 2001-12-25
著者
関連論文
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態とオゼソウの生態について
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(第5報)
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(第4報)
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(第3報)
- 植生回復 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(第2報)
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(1報)
- 小至仏山登山道沿いのオゼソウ群落の動態について(予報)
- 宮古島の海岸植生
- 日本におけるマングローブの植生学的研究 : 2. 沖縄島,宮古島,石垣島のマンブローブ林
- 尾瀬の植生と植物相(14)荷鞍山と白尾山周辺の植生
- 群馬県多々良川で観察されたキタミソウ植分について
- 尾瀬の植生と植物相(14)大清水平と小淵沢田代
- 尾瀬の植生と植物相(13)治右衛門池と小沼周辺地域
- 尾瀬の植生と植物相(12)小沼周辺の植生
- 山火事跡地におけるアカメガシワの根萌芽について
- 日本におけるコナラ林の群落体系
- 関東地方北部のブナ林に関する植物社会学的研究
- イヌビワ-アカメガシワオーダーについて
- 日本におけるマングローブの植生学的研究 : 1. 西表島のマングローブ林
- 西表島沿海部の植生学的研究
- 尾瀬の植生と植物相(11)アヤメ平と横田代の植生と植物相
- 尾瀬の植生と植物相(10)アヤメ平のフロラ
- 尾瀬(群馬県側)における人為的自然改変立地に関する植生動態の調査・研究(1)
- 尾瀬の植生と植物相(9)背中アブリ沢源流のシロウマアサツキ植分
- ススケ峰・大白沢山及び岩塔盆地の植物相
- 尾瀬の植生と植物相(7)岩塔盆地の植生
- 白山の高山および亜高山植生の植物社会学的研究
- 青森県太平洋側におけるコナラ林群落
- 夏緑広葉樹二次林との比較におけるアカマツ林の植物社会学的研究
- 尾瀬の植生と植物相(16)背中あぶり田代,山の鼻田代,広窪田代および上田代の植生
- 華東地域における河岸植生の植物社会学的研究
- 華東地域と南九州の常緑広葉樹林の比較研究
- 山火事跡地におけるアカメガシワの根萌芽について
- コナラ林との比較におけるミズナラ林の植物社会学的研究
- イヌビワ-アカメガシワオーダーの植生地理 : 日本の亜熱帯性二次林の分布について
- 関東地方におけるコナラ二次林の分布に関する植物社会学的研究
- 赤城山および三ツ峠のジゾウカンバ林について
- 西日本との比較による華東地域のマツ林
- 青森県太平洋側におけるコナラ林群落
- 類縁森林植生との比較に基づくイヌブナ林の群落単位の再検討
- 地域植生誌を用いた帰化植物に関する植物社会学的解析の試み
- 華東地域の海岸草本群落について
- 華東地域における落葉ナラ林の植物社会学的研究