中井竹山における「義利」と「制度組立」 : 制度認識に立脚した政治経済観を中心にして
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概要
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論説(Article)本稿は、これまでの「制度建立」観に欠けていた制度に対する信頼構造と、そこから獲得できる「厚生」との間で、いかにして政治経済の持続安定的な成果を見いだすことができるのかという課題に真摯に取り組んだ中井竹山の政治経済思想を、義利とそれに裏付けられた制度認識との観点から考察する。とりわけ諸「利」が錯綜する「天下輻輳」の江戸後期の政治経済において、義利という共有意識の形成は、「経済」問題に対応する基準として、どのような有効性を制度設計に対してもたらしていたのかを具体的に検証する。In late eighteenth-century Osaka, Nakai Chikuzan grappled with problems pertaining to the formation of common views known as “Giri" (righteousness interest). Giri was effective in the institutional design that stabilized a society in a sustainable manner. In the community structure wherein various complicated interests were involved, it was Giri that played the role of unifying the trust structure for a political economic policy dominated by “Public Welfare." This article examines how Nakai Chikuzan's political economic thought with regard to institutional recognition was considered from the viewpoint of Giri.
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