沖縄周辺海域における大型浮魚礁による海洋観測(シンポジウム:北東アジア海域の沿岸海洋観測システム-その現状と課題)
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概要
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沖縄周辺海域に設置された14の大型浮魚礁ニライにおいて,1995〜2001年に表層流速・水温,漁獲量等をモニターした.うち4基では,オーブコム衛星を利用した通信システムにより,ほぼリアルタイムでデータを入手した.測点の多くで流れは潮流の影響を受けていた.風向風速も同時に観測した4基のニライでは,風速成分と流速成分に相関があった.また,中規模の渦が琉球諸島近海まで西進してくると,ニライ漁場の流れはこの渦の影響を強く受け,黒潮や黒潮反流の影響下にあるニライ漁場では,それぞれ北東および南西の流向か卓越した.1998年夏に高水温か原因となる造礁サンゴの大規模白化現象が発生した.沖縄島南のニライ1号では,約1ヶ月間,日平均水温か30℃を超える日が続いた.これ以外の年では,台風の接近による表層水温の急降下が何回も観測された.沖縄島へのサンゴ幼生供給源と考えられる慶良間諸島では,夏季の水温が低めに推移する.これは,陸棚による黒潮系暖水のブロック効果と潮流が速いことが原因と示唆された.浮魚礁漁業の漁獲統計と流速測定結果を比較した結果,漁業者が指摘するように「島に向かう流れ」の時に漁獲量が多くなる傾向が認められた.
- 2006-08-31
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