モーリシャスにおける沿岸水産資源・生態系管理の課題と対策
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概要
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アジア太平洋島嶼国における沿岸水産資源、生態系の管理と比較するため、インド洋の島嶼国であるモーリシャスの状況を調査した。礁池内でおこなわれる小規模漁業は、手釣、カゴ漁、ラージネット(曳網の一種)が中心である。小規模漁業管理の特徴は政府のトップダウン的な性格が強いことである。政府が主体的に沿岸資源を管理するためには、取締を徹底しなければならない。各地の水揚場に取締員を配置して、違法漁業の取締、毒魚のチェック、漁獲統計データの収集をおこなっている。政府関係者は、資源水準の指標となるCPUEが横ばいであることから、沿岸水産資源の水準は横ばいであると評価している。しかし、漁業者からの聞き取りでは、5年前と比較して沿岸水産資源は減少しているという認識だった。今後、漁民の組織化を進め、共同管理を導入する必要があると考えられる。モーリシャスのMPA(海洋保護区)には6地区の漁業保護区と2地区の海洋公園がある。島の南東部にあるブルーベイ海洋公園ではサンゴ群集は健全な状態にあった。代替収入源対策として、養殖はティラピアを除いて進展しているとは言えない状況にある。礁池内の漁獲圧を礁池外の浮魚礁場へ分散させることは有望な代替漁業対策になると思われる。現在、22基の浮魚礁が政府によって設置、管理されている。流失事故が多いので、台風に強いため沖縄で設置数が増加している中層浮魚礁の導入が効果的であると考えられる。
- 沖縄大学の論文
- 2006-03-31
著者
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