汽水湖における水塊の移動と混合過程(シンポジウム:閉鎖性汽水域における物理・化学・生物学的過程)

概要

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汽水湖は海水と陸水が接触する閉鎖性の強い水域であり,独特の水環境,生態系が形成,維持されているが,その水域および周辺は古来人間活動の盛んなところであって,その影響を受けて水環境の悪化が懸念される.汽水湖の環境を支配する重要な物理因子である海水と陸水の流動と混合の過程について,主として中海・宍道湖における調査,研究の実例に基づいて説明する.その主要な項目は,以下の通りである.(1)汽水湖の閉鎖性の高さと水質(溶存酸素濃度)の関係,(2)湖水の流動を引き起こす潮汐,水塊間の密度差,および風による水面応力の諸作用,(3)湖水の循環と内部波,およびその隣接水域に及ぼす影響,(4)水塊の混合機構,とくに強風と洪水流入による混合作用,(5)一時的な成層破壊とそのあとの成層回復の機構,(6)流入海水の循環と滞留,(7)汽水湖内の人工地形改変の影響汽水湖内の物理過程は,降水や風のような気象因子に支配され,その変動が大きいので,長期間にわたる調査,研究が必要であり,未解決の問題が数多く残されている.
1997-08-29