上下顎移動術とオトガイ形成術により治療した上下顎前突症例

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初診時年齢の女性で,笑った時に歯肉がみえることを主訴として来院した.正貌は左右対称,側貌は突出型であり,ガミースマイルと上下口唇の緊張が認められた.上下顎第一大臼歯は両側アングルI級を示し,オーバージェット+3.0mm,オーバーバイト+1.0mm,上顎の正中が右方へ2.0mm偏位していた.また,上顎切歯歯軸傾斜は標準であるが,下顎切歯は唇側傾斜を示し,骨格的前後関係はskeletal Class II(∠ANB7.2°)であった.これらの所見に基づいて,本症例は上下顎前突と診断され,外科的矯正治療の適応と判定された.術前矯正治療は,下顎両側第一小臼歯を抜去し,マルチブラケット装置により約1年間行われた.手術中には,上顎両側第一小臼歯を抜去後,上顎前歯部歯槽骨切り術により前歯部骨片を後方へ移動し,Le Fort I型骨切り術により上顎骨の挙上が施術された.下顎骨については,下顎枝垂直骨切り術(IVRO)により下顎骨を前上方へ移動させるとともに,オトガイ形成術によりオトガイ部の前方移動を図った.その後,約1年11か月間術後矯正治療を行い,緊密な咬合状態が獲得されたため保定を開始した.現在,保定開始から2年経過しているが,良好な咬合状態が維持されている.本症例では,上顎前歯部歯槽骨切り術を併用したLe Fort I型骨切り術とIVROにより,上下顎前突とガミースマイルの著しい改善が認められ,さらに,オトガイ形成術を併用した結果,良好な軟組織側貌を獲得することができた.
2010-06-25

上下顎移動術とオトガイ形成術により治療した上下顎前突症例

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