嘔気,嘔吐 : ナラティブ・アプローチの観点から(<特集>消化器心身医療のクリニカルパール)
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概要
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嘔気・嘔吐は,消化器に由来する症状として頻度の高いものであるが,そのメカニズム・原因は非常に多彩である.心身医学・医療は,患者の主観的体験である「病いの語り」を通じて,個別の患者の「苦しみ」にアプローチする.本稿では,原因不明の嘔気を訴える女子大学生と治療者のWebを通じた対話の実例を提示することにより,「一人ひとりが異なる個別の患者」への対応について,ナラティブ・アプローチの観点から考察する.このような領域の診療における重要な経験則は,患者はそれぞれ個別の世界に生きており,患者の苦しみはその個別の語りを通じてしか理解できず,既知の経験則を強引に患者にあてはめるのではなく,ていねいな個別の対話における物語のすり合わせの中から,有効な物語を共同構成することが重要だということになるだろう.
- 2010-11-01
著者
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