貨幣と銀行信用のマクロ分析に関する「バーナンキ=ブラインダー・モデル」の再検討
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概要
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本稿は,貨幣と銀行信用のマクロ分析の代表的なモデルであるバーナンキ=ブラインダー・モデルの再検討を試みている。彼らの論文が発表されたのは,1988年であるが,90年代の終わり頃まで,このモデルの検討や拡張が試みられてきたが,筆者の考えでは,それらはいずれも不十分なものである。バーナンキ=ブラインダー・モデルは,貨幣乗数という概念をモデルに導入しており,信用乗数も含めて,歴史的にみてこの重要な概念がモデルの中でどのように取り扱われていて,彼らの結論にどのように影響を及ぼしているのかについて詳細な検討がなされていないのである。論者の視点は,クレディットビューとかマネービューとか呼ばれている比較的新しい概念に向かっているが,この歴史的にみても重要な概念が同時決定モデルの中でどのように取り扱われているのかにういての検討は,本来必要なものであった。本稿では,この点を中心にして詳細な分析を行っており,バーナンキ=ブラインダー自身が気づいてない論点も十二分に指摘している。信用乗数・貨幣乗数は一つのアプローチと位置づけられる概念ではない。貨幣と銀行信用を取り扱ったマクロ分析の中心的な位置に座らなければならない概念である。
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