タケ材の虫害と防除措置(薬剤)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 近年一般住宅のみならず、文化財関係の建造物においてもタケ材の害虫がかなり発生し、その防虫処理が緊急に要望されるようになったので、調査した茨城県歴史館茂木家と明治神宮宝物殿におけるタケ材の被害実態を述べ、さらにこれまでのわが国で記録されている主要なタケ材害虫を列記した。 2) 防除措置として、貯蔵でんぷんの少ない秋季(10, 11月)をタケ伐採の適期としたが、これだけでは不十分であるので、薬剤処理の必要を述べた。 3) すでに虫害をうけている被害材については、即効性の燻蒸剤を使用して可及的速やかに害虫を殺滅し、虫害の進行を即刻停止させ、タケ材の強度の低下を防ぐ必要があるので、前記茂木家の被覆燻蒸と明治神宮宝物殿の密閉燻蒸の実施例を述べた。 4) 薬剤の Screening test にタケ材を試験体とした試験例がほとんどないので、マダケを試験体とし、供試虫はイエシロアリを用い、10種類の薬剤について殺虫効力の比較試験を行った。この結果、低毒性の有機塩素剤であるクロルデンを主剤とする油剤、モノクロルナフタリンを主剤とする油剤よりも低毒性の有機燐剤であるフオキシム乳剤、プロチオホス乳剤が殺虫効力において優れているのみならず、Weatheringの結果、残効性においても勝っている成績を挙げた。一般に有機燐剤の多くは速効性ではあるが、残効性が短いことを特徴としている。この二つの供試薬剤は燐剤中では遅効性のほうであるが、比較的残効性の長いことを特徴とするものである。しかし、一般に塩素剤に及ばないものとみなされていた燐剤がタケ材を試験体とした場合、残効性においても塩素剤に勝る成績を挙げたことは注目すべき結果である。したがって、小舞竹の防虫処理の場合にこの二つの有機燐剤のいずれかの乳剤に48時間以上浸漬処理することを推奨する。
- 1979-09-11
著者
関連論文
- A-22 アンコール遺跡の劣化石材表面の硫黄酸化微生物(生理/増殖,(2)口頭発表会,研究発表会)
- PA-52 アンコール遺跡の劣化石材における微生物の計数および分離(生理/増殖,ポスターセッションA,ポスター発表)
- P-024 アンコール遺跡劣化石材に生息する硫黄酸化細菌の検出(物質循環,ポスター発表)
- タケ材の虫害と防除措置(薬剤)
- 残効性ピレスロイド剤のScreening tests : Permethrinのイエシロアに対する殺蟻効力試験(薬剤)
- 文化財建造物の微生物被害と対策 (特集 微生物は建築をほろぼす?) -- (建築のほろび方--そしてその救い方)
- 燻蒸設備
- 各種文化財等の糸状菌同定報告
- 黴(カビ)と光学機器
- 紙質類文化財の保存に関する微生物学的研究-9-人為的foxingの誘起
- 酸性紙の中和について-1-ジエチル亜鉛法の追試
- 302 光学機器の生物劣化に関する硫究 : (第2報)糸状菌の生育へのガラス組成の影響
- 301 光学機器の生物劣化に関する研究 : (第1報)光学機器に発生する糸状菌について
- コンクリ-ト壁体のガス透過性-2-シポレックスに対する燻蒸剤の挙動
- 新設博物館における生物学的問題(博物館)
- 斯道文庫など書庫内で採集された昆虫と書籍害虫のカタログならびにその代表的食痕・虫糞と防除法(書籍害虫)
- 残効性有機燐剤の殺虫効力に関する試験(薬剤)
- 415 斯道文庫など書庫内で採集された昆虫と書籍害虫ならびに代表的食痕と防除法(一般講演)
- 新燻蒸剤弗化サルフリル(Sulfuryl Fluoride)(第2報)(一般講演)