ビルのクマネズミRattus rattusの連続捕獲による個体数の推定方法について

概要

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建築物におけるネズミの調査方法の確立に当たり,除去法を利用して建築物内のネズミの推定個体数を求めた.調査は,27カ所のビル内の飲食店,食品売り場およびゴミ集積場に対し,粘着トラップを夜間配置し,翌朝回収するという方法で行った.この作業を3日間繰り返した.その結果,捕獲されたネズミ数から,連続捕獲中に第n日の捕獲数をY,第n-1日までの累積捕獲数をxとして,Yのxに対する回帰直線を作成し,25カ所のビルから得た回帰直線のYとxの相関係数(r)の絶対値は0.8以上であり,負の相関が得られた.また,27箇所のビルから,8〜229の個体数が算出された.したがって,トラップによる3日間3回連続捕獲はおおよその個体数の推定方法として,配置枚数さえ適正であれば簡易で有用であることが明らかとなった.しかし,粘着トラップを用いて捕獲されるのは幼獣の割合がかなり多く,また,現場が完全に閉鎖できないなどの事実を考えると,推定個体数の算出結果は過小評価になる可能性がある.今後もこの除去法によるビル内のネズミの推定個体数の把握についてはさらに検討する必要があろう.
2007-02-28