芸術教育の授業創造と評価の枠組みの創造的検討
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概要
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本研究は,学校教育における芸術教育と美的経験の持つ意味を捉えることを目的とし,音楽的自己表現の授業を「発生的方法」によって構成し,その授業で到達した1時間のこどもたちの表現に焦点をあてて,その学びの経験の意味を,構成主義的パラダイムにたつ「教育批評」の手法を援用して捉えようとするものである。芸術経験の根元的な意味を,具体的な活動の中でとらえるために,はじめに,子どもたちの芸術表現を可能にする授業のデザインと実践の過程を「発生的方法」に基づいて叙述し,次に,その授業が最終的に到達した一つの共同経験の意味を,アイスナーの「教育批評」の手法をかりて読み解く。個特異的な実践事例を,その場の中に入った批評家の立場からミクロに叙述することを通して,子どもたちの共同での深い音楽体験の中に,デューイの言う意味での「美的経験」があることが批評の言語を通して示された。またこの一つの批評実践をとおして,このようなF美的経験」は教科学習の枠組みを越えたところでなりたつこと,また学習者共同体における意味生成としての学びにおける「美的経験」の意味が論じられる。最後に,カリキゴラムの「美的経験の次元」を開示する研究方法論として,「教育批評」の可能性に言及する。
- 2005-03-31
著者
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