知的障害児教育における自己決定に関わる実践の検討
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概要
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本研究は,知的障害児の自己決定を視野に入れた教育実践の在り方について検討することを目的とした。まず自己決定を標榜したこれまでの実践報告を検討したところ,それらの報告における取り組みは,形骸化,ルーチン化された自己決定を求めかねないという課題を抱えていた。自己決定を教育実践に位置づけることはどのようなことなのかを明らかにすることの必要性が確認された。今回は,知的障害児教育実践における自己決定の在り方として,2点、に焦点、を絞り検討した。第1は,子ども一人ひとりの自己決定をどのように支援するのかという課題である。まず自己決定のプロセスを提示した。その上で,教育実践において自己決定のプロセスを活用する方策として,自己決定のプロセスを実施手順として位置づけること,自己決定のプロセスの実施を支援するにあたっては,教師は質の異なる2つの支援を提供することを述べた。第2は,共同を基礎とする学校教育に,どのように自己決定を位置づけるかという課題である。自己決定の学びの場としての共同決定の在り方について,近藤益雄の教育実践から示唆を探った。その結果,(1)教師が育てたい子ども像を獲得させるための主要な方策として共同決定が捉えられていること,(2)共同決定を通して一人ひとりの成長を促すという視点が重要であることが示唆として得られた。
- 2003-03-31
著者
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