ジャコウアゲハとクロアゲハの胚子期における肉角の発生
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概要
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岐阜県産のジャコウアゲハとクロアゲハの胚子期における肉角の発生について述べた.ジャコウアゲハとクロアゲハは各々別の属に所属するが,肉角の形成過程はほとんど同一である.ジャコウアゲハでは産下後約2.5日(約30℃の恒温下)で,クロアゲハでは約3日(8月下旬の室温)で,胚子が反転する.胚子の反転後,前胸節の背側の体壁にひだ状の肉角原基が左右に1対形成され,原基は次第に前胸体節の内部へ陥入する.陥入した袋状の原基の背壁(後壁)はその後厚さを増してレンズ状となり,分泌腺(ellipsoid gland)の原基になる.他方,腹壁(前壁)は分泌腺を包む嚢(protrusible sac)の原基となる.発生が進むにつれて,前者は成長を続け,やがて内部に空所を有するellipsoid glandとなる.後者は薄膜となって伸長し,ellipsoid glandを包んで体外へ突き出すprotrusible sacを形成する.ジャコウアゲハとクロアゲハの胚子期における肉角形成の初期の過程は今日までに知られている他の種のものと同じであるが,後期の発生過程はウスバシロチョウやギフチョウの場合とは異っている.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1986-06-20
著者
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