トウモロコシの遠距離交雑率の特性と交雑率の変動に及ぼす気象要素の影響

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遺伝子組換え作物が環境に与える影響を明らかにするとともに,組換え作物と既存の非組換え作物の共存ルールを検討することを目的として,トウモロコシを用いた交雑実験を行った.本研究では特に,遠距離での交雑率の実態や特性を明らかにするために,大規模な圃場を用いて2006年から2008年の3年間,交雑実験を行い,気象観測値や,交雑率,花粉観測値を得た.本実験は,これまで課題とされてきた圃場規模を大幅に拡大し,遠距離における交雑率を測定し,気象要素などの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった. 1)開花日から花粉飛散ピーク期間前日までの降雨がピーク期間における花粉飛散量に影響し,花粉飛散パターンを決定する要因の1つとなっている. 2)交雑率はドナー群落からの距離に伴って指数関数的に減少していき,800mの地点においても一定値になることはなく,きわめて緩やかにではあるが減少し続ける. 3)交雑率と気象条件との相関性は,遠距離(200m〜)よりも中距離(50〜200m)において明瞭に表れる. 4)ドナーからの距離と交雑率の関係において,平均風速が強いほど距離に伴う交雑率の減衰率が小さくなる. 5)ドナーからの距離と交雑率の関係において,日射量が多いほど距離に伴う交雑率の減衰率が大きくなる. 本報告は,3年間の実験結果に基づいて,まとめたものである.今後,ドナーからの距離が遠いところでの交雑率を合理的に推定するための方法を確立するためには,花粉飛散や交雑のモデル化を検討するとともに,より多くの遠距離交雑に関する実験結果を収集,解析する必要がある.
2010-06-30

トウモロコシの遠距離交雑率の特性と交雑率の変動に及ぼす気象要素の影響

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