近年の米国における死の定義をめぐる論争
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概要
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米国では近年、1981年の統一死亡判定法の成立によって社会的合意が成立したとされる死の定義をめぐって、再び論争が盛んになっている。問題の所在を調べるために、データベースを用いた文献検索で論点整理を行った。収集した論文を基に、「脳死判定の積み重ねによって生じた問題」「ドナープールの拡大傾向によって生じた問題」「引き続き論争がある概念的問題」の三項目に整理して論点をまとめた。考察では死の定義の論争を解決困難なものにしている原因を検討し、「死とは何か」という問いの性質について検討する必要があることと、死の定義の問題が多面的な問いであるため専門分野を超えた対話が今以上に必要であることを論じた。脳死に関するコンセンサスが米国以上に不安定な日本においては、米国の議論も参考にしつつ、臓器移植法改正に伴って問題になると思われる死の定義について、十分に議論する必要があるだろう。
- 2008-09-21
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