デッド・ドナー・ルールの倫理学的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
デッド・ドナー・ルール(以下DDR)とは、「臓器を得るためにドナーが殺されてはならないことを要求する倫理的・法的規則」のことであり、1988年に法学者のJohn Robertsonが、それまで不文律であった規則を定式化したものとされている。この規則によれば、心臓や肺など、vital organ(生死に関わる臓器)を生体から摘出することは、たとえドナー本人の自発的な同意があっても許されない。本論文では主に英米圏の文献の調査に基づき、DDR見直しをめぐる議論の論点を、DDR例外許容論、DDR堅持論(死の定義の変更あり)、DDR堅持論(死の定義の変更なし)の三つの立場に分けて整理した。また、この議論が、脳死臓器移植をめぐる日本の議論にどのような示唆を与えることができるのかについて考察し、DDR例外許容論と違法性阻却論の類似性を指摘し、この立場を改めて議論すべき必要性を示唆した。
- 2007-09-20
著者
関連論文
- デッド・ドナー・ルールの倫理学的検討
- 近年の米国における死の定義をめぐる論争
- 公衆衛生の倫理に関する教育の現状とカリキュラムの方向性
- やさしい生命倫理学講座(第1回)生命倫理学とは何か
- 時論 病気腎移植を実施する前に解決すべき三つの倫理的課題
- 時論 富山県射水市民病院事件について--日本の延命治療の中止のあり方に関する一提案
- エンハンスメント概念の分析とその含意(第18回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム)
- 臨床倫理において必要な倫理的知識 (特集 ICU,CCUにおける臨床倫理入門)
- 6. The Ethics of the Allocation of Health Care Resources and QALY
- Medical Tourismが受入国の医療環境に及ぼす影響の論点整理
- 英国における自殺幇助をめぐる論争とスイスへの渡航幇助自殺 : 渡航医療が国内医療の法規制に及ぼす影響の一考察