チャイロエダモグリガ(新種,新称)(鱗翅目,キバガ上科,エダモグリガ科(新称))
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概要
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Blastodacna ochrella Sugisima,sp.nov.(Figs 1-7)頭部および胸部は淡い黄土色で,胸部背面中央には濃褐色の縦帯,下唇鬚には濃褐色斑が現れる.触角は褐色で脚は濃褐色.前翅は胴体よりも濃い黄土色で,翅長の2/5および2/3の折り目上に逆立った鱗片からなる黒色斑を持ち,前縁と外縁を暗褐色の鱗片で縁取られる.この縁取りは翅の先端付近で濃く幅広くなり,灰褐色の縁毛とあいまって,あたかも翅先端1/3が暗色であるかのような印象を与える.♂交尾器は背面側に反り返ったgnathosや基部だけが幅広くその先が細長い板状になるvalvaなど,典型的なBlastodacna属の特徴を備える.Anellus lobeは中央付近まで幅広く,そこから急激に細くなって円錐形の突起となる.このようなanellus lobeの構造は,極東から報告されている同属の種では知られておらず,中央アジアから記録されているBlastodacna lvovskyi Sinev,1986(タジキスタン共和国)およびB.mironovi Sinev,1989(キルギス共和国)に共通する.チャイロエダモグリガの外観が黄褐色であるのに対し,これら中央アジアの2近縁種および極東から記録されている3種の外観は暗灰色であるため,混同の畏れはない.模式産地での調査によれば,成虫は昼行性で,その出現期はたかがか2週間と思われる.Blastodacna属で寄主植物の判明しているものは,バラ科の樹木の若枝か果実を食害するとされる.模式産地では本種の成虫が継続的に採集されており,周辺にあるバラ科樹木はエゾヤマザクラとアズキナシである.仮にアズキナシが寄主植物であった場合,Blastodacna属の寄主としては植物の属レベルで初記録となる.
- 2004-06-20
著者
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