琉球から発見されたヒメガマを食するホソガ科の一種(ホソガ科, ホソガ亜科)とその適切な属の所属
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概要
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沖縄本島からヒメガマ(ガマ科)を寄主植物とするホソガ科の一種が見出された.この種は従来オーストラリア東部に広く分布しガマ(ガマ科)を食することが知られる種と同一であると判断された.この種について生活史を含めて再記載するとともに, 属の所属を変更した.Gibbovalva tricuneatella (Meyrick, 1880), comb. nov. (Figs 1-19)ガマホソガ(新称)前翅長3.1-3.9mm.頭部白色.小顎鬚末端節は黒色.下唇鬚は白色で, 第2節末端と第3節先端よりやや離れた位置は黒色.前翅(Figs 2, 6)は基部後縁沿いが淡色化する他は灰色を帯びた褐色で, 暗色鱗片が混ざらない白色の斑紋, すなわち1/5, 2/5, 3/4の白色横帯と9/10の向かい合った1対の白点を持つ;白色横帯は前縁付近では細く, 後方へ向かって幅広くなる;3/4の横帯は前縁から少し離れた位置で寸断されることが多い.♂交尾器(Figs 12-16)において, valvaは背縁付近1/3に突出部humpを備え, vinculumは球状のsaccusを持ち, diaphragmaは硬化が弱いながらもanellusを形成し, vesicaは無数の微小棘群を有する.♀交尾器(Figs 17-19)において, signumはcorpus bursae全長の5/6を占める長い蹄鉄型のキチン板で, その上に円錐形の突起が並ぶ.日本産の同属他種からは, 前翅白色部に暗色鱗片が混じらないことで識別される.日本産のホソガ亜科では, Spulerina属やTelamoptilia属の一部にも本種と混同されうる色彩のものが知られる.しかし, これら別属の種では, 前翅基部からすぐ先に本種に見られない白色横帯が現れるか, あるいは前翅3/4の白色横帯を欠いている.おそらく年多化.幼虫はヒメガマの葉の上面側表皮直下を摂食し, 初期は線状の, 後に斑状の潜葉痕を形成する.蛹化は潜孔内に形成された繭内で行われ, 繭は糞粒で囲まれる.従来この種はAcrocercops属に置かれてきた.しかし, ♂交尾器valvaのharpeが背縁付近に突出部humpを持つ一方で剛毛列comb(s)を欠き, diaphragmaが硬化することなどの特徴に基づき, Gibbovalva属に移されるべきであると結論された.
- 2005-06-20
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