スゴモリキバガ属のタイからの新種(鱗翅目,ホソキバガ科,ホソキバガ亜科)
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概要
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大阪府立大学昆虫学研究室に保管されていたタイ産小蛾類標本の中にスゴモリキバガ属に含まれる1♂の標本を見出した(標本は大阪府立大学による鱗翅類調査遠征においてマレー半島基部付近に位置するKanchanaburiにて採集されたものである).この標本の色彩は日本産のヤブミョウガスゴモリキバガIdioglossa polliacola Sugisima,2000の変異の中に含まれていた.しかし,交尾器の構造がヤブミョウガスゴモリキバガのものとは明らかに異なることから未記載種と判断し,Idioglossa thailandica sp.nov.と命名・記載した.Idioglossa thailandica Sugisima,sp.nov.(Figs 1,2,4,5)現時点では完模式標本のみが知られている.日本産のヤブミョウガスゴモリキバガを除く同属他種からは斑紋によって区別される.標準的なヤブミョウガスゴモリキバガ(Fig.3)と比較して,前翅基部1/3付近にある「く」の字型をした暗色横帯を基部側から縁取る明色の斑紋が大きくかつ白色に近く(Fig.2),これは種の特徴なのかもしれない.しかし,完模式標本ではその周辺が損傷を受けているせいで斑紋の形状が充分に確認できなかったため,その斑紋が種を特徴づけるか否かの判断はここでは保留する.♂交尾器において本種の特徴と判断したのは,把握器中央部付近がほぼ等幅であること,把握器基部背面より生じる鎌刃状突起がほぼ等幅で,その先端が把握器背面側の縁付近までしか達しないこと,juxtaが四角形で背面側の縁が弧状にくぼむことである.ヤブミョウガスゴモリキバガの♂交尾器では,把握器は先端に向かって急激に細くなり,鎌刃状突起は先端に向かって一様に細まるとともに先端が把握器腹面側の縁付近にまで達し,juxtaは腹面側の縁が丸みを帯び背面側の縁が深くV字に切れ込む.
- 2004-01-20
著者
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