実態調査から見た管理会計理論と実務の乖離(経営フォーラム)
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概要
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筆者は,1994年秋に主要会社1,000社に対して,管理会計の全領域に亘り227項目のアンケート調査を実施した.当調査に回答した229社の回答を集計・分析した結果を『日本企業の管理会計-主要229社の実態分析』と題して出版した.当調査を解析した結果,管理会計理論と実務の間に相当の乖離を発見した.中には理論と実務が一見正反対の傾向を示している回答結果さえ存する.なぜ管理会計理論と実務は乖離するのか,両者を融合させるにはどうすべきか.この課題に挑んだのが,本論文である.本論文では,対象とする理論と実務を定義・類別したうえ,理論と実務のうち応用理論と実態理論について両者の関連性を検討している.この場合には,乖離説や一体説は容認し難いので,融合説に立ち,いかに両者を融合すべきかを論及する.まず管理会計理論と実務の乖離・融合問題を解明するため,有用性-特に目的適合性の立場に立ち,目的適合性を単一目的適合性,複合目的適合性(経営機能別・管理階層別に細分)及び環境適応型目的適合性に分類する.これらの目的適合性別に乖離の要因と融合の方策を,内外の文献を基に史的に考察し,理論的検討の基盤とする.またこれらの立前論とは別に本音論についても言及する.本論としては,以上の検討に基づき4つの仮説(単一目的適合性,経営機能別目的適合性,管理階層別目的適合性及び環境対応型目的適合性の各仮説)を立て,これを上記の実態調査結果により例証する.最後に管理会計理論と実務の融合を図るには,日本管理会計学会に期待するところが極めて大きいことを主張し,本論文の結論とする.なお,本論文は,1995年11月10日に立命館大学で開催された日本管理会計学会第5回全国大会の統一論題において研究報告した草稿を加筆したものである.
- 日本管理会計学会の論文
- 1996-03-25
著者
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