複数色に対する色嗜好スタイルと個人の色認知特性

概要

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本研究の目的は、第一に、各個人が複数の色に対する好き嫌いの程度をどのように位置づけているか(本研究では、これを色嗜好スタイルと呼ぶ)を明らかにすること、第二に、特徴的な色嗜好スタイルと関連する各個人の色認知特性を検討することであった。297名の大学生に対し、色嗜好調査ならびに色認知特性調査を実施した。色嗜好調査では、赤、だいだい、黄、黄緑、緑、青、紫、ピンク、茶、白、灰、黒の12色名を提示し、各色の嗜好度をvisual analog scales(VAS)上で回答させた。各回答者の12色に対するVAS値から、平均、標準偏差、最大値、最小値、偏好度(最大値と他の11色のVAS値との差の平均)、偏嫌度(最小値と他の11色のVAS値との差の平均)を算出し、これらを色嗜好スタイル指標とした。また、色認知特性調査では、色に対するステレオタイプ的認知と色に対する意識(こだわり)の高さを測定する質問項目に回答させ、各個人の色ステレオタイプ得点ならびに色意識得点を求めた。これらの指標値や得点について分析を行ったところ、まず、色嗜好スタイルの一般的特徴として、性差がないこと、最嫌色は他色より突出して位置づけられること等が明らかにされた。また、嗜好順位別の好嫌プロフィールの個人差から、色嗜好スタイルが、どの色もまんべんなく好むタイプ(全体嗜好型)と特定の色を選り好みするタイプ(特定嗜好型)に分類される可能性が示された。さらに、色嗜好スタイルと色認知特性の関連を見たところ、色ステレオタイプ得点が高い個人は特定嗜好型の色嗜好スタイルを持ちやすく、しかも色意識得点が高いときにその傾向が顕著に現れることが示唆された。これらの知見に基づき、色嗜好スタイルの特徴と関連する認知過程が議論された。
2009-12-01

複数色に対する色嗜好スタイルと個人の色認知特性

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