色嗜好表出における認知要因(2) : 手続き変更による既報知見の一般化の試み

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高橋・羽成(2005)は、visual analog scaleを用いて色嗜好の定量的測定を行い、特定の色の好嫌を強く意識させる認知課題を与えることにより、各色に対する好き嫌いのばらつきが拡大するという実験結束を報告している。本研究では、その手続きの一部を変更した二つの実験を通じて、彼らが得た知見の頑健性と一般性を検証した。ます実験1では、310名の回答者に対し、4週間を挟み二度の色嗜好調査を実施した。二度目の調査の直前に、実験群には、高橋・羽成(2005)と同様の認知課題が与えられた。手続きの変更点は、12色の呈示方法を色名呈示から色刺激呈示に変えたことである。その結果、実験群が統制群に比べ好嫌のばらつきの程度が大きくなるという、先行研究と同じ結果が得られた。つぎに実験2では、233名の回答者に対して同様の実験を行ったが、ここでは認知課題として色以外の一般的事物を対象とした好嫌強制分類課題が用いられた。12色は色名呈示された。その結果、程度は小さくなったものの、これまでと同様の影響が見られた。これらの実験結果から、高橋・羽成(2005)が得た知見が再現性の高いものであることが確かめられた。また、彼らが考察した、認知課題によって形成される対立的な認知図式による影響には、課題対象そのものの評価を偏らせる直接的な側面と、より一般的な認知様式の偏向に波及する間接的な側面が含まれることが明らかになった。
2008-12-01

色嗜好表出における認知要因(2) : 手続き変更による既報知見の一般化の試み

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